日本は、欧米諸国と肩を並べるいわゆる先進国である。長い歴史と伝統文化を持ち、生活水準も高く、お金で世界中の物を手に入れることができ、医療水準も高い。ゆりかごから墓場まで安心して暮らすことができる。こんなに恵まれた国は他にはないのではないか…と思う。しかし、現実の生活を考えると、例えば昨年の東北・関東地方を襲った大震災の復興については、1年経った現在でも一向にその兆しが見えてこない。また、経済不況によって企業倒産や失業者は増加し、更に円高で国内から国外に生産拠点を移転することによる産業の空洞化の結果、就業できずにいる国民は数多く、それによって家庭の崩壊も起きている。それらの事象は、統計で国から示されるが、その数字に含まれている国民の生活の現状がどんなものか知る由もない。国会では、数字だけが討議され、政府がマスコミを使って国民を意図する方向に誘導しようと、おいしい話をちらつかせながら政党間の駆け引きを続けている。こんな不安定な上滑りの事ばかり続けていれば、将来への不安は増すばかりである。出生率が低下するのも当然だし、未婚の男女が増えるのも当然であろう。また、現実から逃避して大人としての責任を取らない人が増えているのは、上滑りな教育行政による結果だと言わざるを得ない。もっと、人としてどう生きるべきかを教える事が必要である。子供をしっかり育て上げることは、親としての義務だし、どの親も自分の子供はしっかり育って欲しいと望んでいる。それに応えるべく国の教育行政はあるべきである。政府の子育て支援策は、机上の空論であり、本当に将来国を支えられるしっかりした国民に育て上げるという崇高な目的を持ったものではない。結果として、子供を親から取り上げて、働かなければ子供の将来はないぞと言っているようなものである。子供には親が側に居ることが必要である。そして、国や地方の行政が子供を育てるのではなく、親が育てるという古代から脈々と続いてきた原則を崩してはならないのである。親の愛情を肌で感じてこそ人を愛することができる人間になるのである。その親を支援するのが行政ではないか。これ以上、育児放棄や子供虐待等の悲劇を増やしてはならないし、悲劇を無くすには、今の政府の子育て支援は逆効果となる。
平成24年3月18日 |